こんにちは、公認会計士のロディです。
簿記2級に受かると、次のステップに挑戦したくなりますよね。
特に簿記1級と簿記論は、難易度・試験範囲が似ており、どちらにしようか悩む方も多いです。
そこで本記事では、簿記1級と簿記論の違いとどちらを選べば良いのかについてお話します。
ご自身にとってどちらが最善なのか、判断材料にしてみてください。
簿記1級と税理士簿記論なら、迷わず簿記1級を選ぶべき話
本記事では、次の点で簿記1級と簿記論を比較します。
- 難易度
- 知名度
- 就活での役立ち
- 将来性
先に言ってしまうと、すべて簿記1級に軍配です。
次に、それぞれ理由を見ていきます。
簿記1級と税理士簿記論の難易度を比較
「難易度」と一言にいっても色々な切り口があります。
ここでは4つの切り口で考えます。
簿記論と簿記1級の合格率で比較
まず、簿記1級・簿記論の合格率を、それぞれ見ていきましょう。
簿記論 合格率推移
- 2009年 9.9%
- 2010年 12.5%
- 2011年 14.8%
- 2012年 18.8%
- 2013年 12.2%
- 2014年 13.2%
- 2015年 18.8%
- 2016年 12.6%
- 2017年 14.2%
- 2018年 14.8%
ここ10年間を平均すると、簿記論の合格率は、約14%です。
わりと難しいですね。
簿記1級 合格率推移
- 2014年② 8.80%
- 2015年① 8.80%
- 2015年② 9.60%
- 2016年① 10.9%
- 2016年② 9.3%
- 2017年① 8.8%
- 2017年② 5.9%
- 2018年① 13.4%
- 2018年② 9.0%
- 2019年① 8.5%
こちらも全10回を平均すると、簿記1級の合格率は、約10%です。
簿記論よりも、さらに合格率が低いですね。
>>関連記事:簿記1級の合格率と、近道する方法【短期合格した秘訣】
合格率だけを見ると、難易度は 簿記1級 > 簿記論 となりそうです。
試験の回数で比較
ここで注意なのですが、簿記論と簿記1級とでは、実施される試験の回数が異なります。
簿記論は年に1度(7月)のみであるのに対して、簿記1級は年に2度(6月・11月)あります。
チャンスが2回あるので、試験の回数だけを考えれば、難易度は 簿記論 > 簿記1級 であるとも考えられます。

だいぶ期間が空いてしまう為、やる気の低下につながります。
受験生のレベル感
ここは感覚的なお話ですが、それぞれの試験を受験する受験生のレベル感にも、やや違いがあると感じます。
実は、簿記論の受験には「受験資格」が必要であり、その受験資格の1つに「日商簿記検定1級に合格している事」があるのです。
一方、簿記1級には受験資格はなく、誰でも受験可能です。
このことから、受験生のレベルだけを考えると、難易度は 簿記論 > 簿記1級 となる可能性があります。
※ 実際の受験者層は公開されていませんので、やや感覚的になります。
実際に取得した感想としては
僕は、簿記1級と簿記論の両方に合格しています。
両方を取得した感想としては、簿記論の方が難しいと感じました。
簿記論の試験は、狭く深くというイメージです。
簿記1級は、範囲が広いのですが、思考力を問うような問題はあまりなく、記憶を吐き出すタイプの試験です。
一方、簿記論も範囲は広いのですが、本番での応用力まで問われます。
単純に簿記論のほうが問われる能力が多いため、簿記論の方が難しいです。
ちなみに、簿記1級の合格に必要な勉強時間は、700時間です。
>>関連記事:簿記1級の合格に必要な勉強時間は?【実績公開】
簿記論の勉強時間も、ほぼ同等と言われていますね。
世間一般の知名度を比較
世間一般の知名度としては、
です。
簿記って、わりと持っている人が多い資格です。
たとえば簿記3級は取ったよ、という人や、簿記2級まで持ってる、という人はわりと居ます。
簿記に触れた人たちにとって、「簿記1級」はその難易度がイメージしやすく、難しい!と分かってくれることが多いです。
一方で、「簿記論」は税理士受験生や会計士受験生であれば知っていますが、それ以外の人たちにとっては馴染みのない資格です。
よって一般の知名度は、簿記1級の勝ちです。

でも、周りの人の理解が得らえるという点で、目に見えない価値があります。
就職活動においての比較
就職への役立ち度としても、
です。
簿記論はあくまで税理士試験の1科目ですので、税理士事務所・会計士事務所での採用要件の1つになります。
一方で、簿記1級は「会計」に関する資格試験ですので、会計事務所での採用要件の1つにもなりますが、一般事業会社の経理としての採用もあります。
簿記1級の方が、就職活動での採用に直接影響しますね。
なお、簿記論の保持を履歴書に書く場合、「税理士の他の科目に合格したら、辞められるのでは」との不安を抱く企業もあり、マイナスに働く場合があります。
よって、就職活動での評価という点においても、簿記1級に軍配ありです。

将来性という点で比較
簿記1級・簿記論それぞれを取得した場合の、その後を考えてみましょう。
まず、簿記論に合格した場合、次のようなステップが考えられます。
- 税理士科目のうち、その他の科目を取得し、税理士になる
簿記論を取得すると、その先は税理士一本道です。
次に、簿記1級に合格した場合、次の選択肢が考えられます。
- 簿記論の取得を目指す
- 公認会計士を目指す
- 中小企業診断士を目指す
- ファイナンシャルプランナーを目指す
- 社会保険労務士を目指す
いずれも、簿記とシナジーのある国家資格です。
単純に考えて、将来性は5倍なので簿記1級のほうが良いですね。

計算よりも論述が多く、シナジーは2割~3割程度です。
結論、簿記1級のほうがオススメ
まとめます。
- 難易度は簿記1級のほうが易しい
- また、年に2度受験できる
- 世間一般の知名度は、簿記1級の方が高い
- 就活においての有用性は、簿記1級の方が高い
- 将来性についても、簿記1級の方が幅広い
総合すると、迷っているなら簿記1級の方がオススメです。
一方で、「税理士になる」という強い目的がある方は、簿記論を一直線で目指すべきです。
なお、簿記1級の独学合格は、ほぼ無理ゲーです。
>>関連記事:簿記1級に独学で合格する人の特徴+勉強法【公認会計士が解説】
挑戦しても良いのですが、2~3年はかかりますよ。
一方、最短・最安での合格を目指すなら、ネットスクール1択だと思います。
>>関連記事:簿記1級の通信講座は1択です。【最短合格・最安合格を狙おう】
今はどこにいても受講ができるので、良い時代になりましたね。
時間は有限なので、スクールを利用してサクッと簿記1級を取得しましょう。
>>ネットスクールで簿記1級を取る。