こんにちは、公認会計士のロディです。

  • 公認会計士の「試験科目」には、どんな科目があるんだろう?
  • 公認会計士試験の「勉強内容」を、サクッと分かりやすく知りたいな

本記事では、そんなニーズを解決します。

 

ロディ
ロディ
必要に応じて「実際の試験問題」を入れましたので、我ながら分かりやすく解説できたかな、と思います。

 

スポンサーリンク

公認会計士試験の「試験科目」

公認会計士試験は、短答式試験(1次試験)と論文式試験(2次試験)から構成されます。

「短答式試験」「論文式試験」それぞれの試験科目は、次のとおりです。

 

 短答式試験(1次試験)

  • 財務会計論(200点満点)
  • 管理会計論(100点満点)
  • 監査論(100点満点)
  • 企業法(100点満点)

 

 論文式試験(2次試験)

  • 会計学(300点満点)
  • 監査論(100点満点)
  • 企業法(100点満点)
  • 租税法(100点満点)
  • 選択科目(100点満点)
    ※次の中から1科目を選択
    ・経営学
    ・経済学
    ・統計学
    ・民法

 

短答式試験は、計4科目(500点満点)で構成されます。

論文式試験は、計5科目(700点満点)で構成されます。

なお、論文式試験における「会計学」という科目は、短答式試験における「財務会計論」と「管理会計論」をまとめた科目になります。(まったく新しい科目というわけではなく、科目名が変わっているだけです。)

逆に、「租税法」と「選択科目」は、論文式試験でのみ受験することになる試験科目です。

 

公認会計士試験の科目ごとの「勉強内容」

ここからは、各科目ごとの勉強内容を見ていきましょう。

なお、論文式試験における「会計学」は、「財務会計論」と「管理会計論」に分けて解説します。

 

① 財務会計論

要求される能力

  • 記憶力   ★★★★★
  • 数学的思考 ★☆☆☆☆

財務会計論は、「計算」と「理論」に分けられます。

勉強内容が財務会計であるという点では共通しますが、「計算」と「理論」とでは、すこし勉強方法が異なります。

 

 財務会計論の「計算」で勉強する内容

財務会計論(計算)のボリューム ★★★★★

「財務会計論の計算」は、「簿記」とも呼ばれます。

簿記とは、「帳簿記録の方法」のことであり、たとえば「家計簿」(単式簿記)なんかもその1つです。

ただし、財務会計論で勉強する簿記は「複式簿記」と呼ばれるタイプの手法です。

勉強内容としては、あらゆる取引の計算手順を覚え、電卓を使い計算し、「仕訳」とよばれる形式で答えを出すことをひたすら覚えます。

ちなみに、別の資格試験である「日商簿記検定」の勉強内容は、すべて財務会計論(計算)の中に含まれています。

 

 財務会計論(計算)の問題例と解答

財務会計論(計算)の問題例

数学で言うところの、「文章題」のようなイメージです。

また、回答形式が特殊ですよね。

膨大な量の計算手順を記憶する必要があり、「計算」と言いながらも「暗記」が多く求められる試験科目です。

よって、文系の方に有利です。(数学的センスは不要)

なお、短答式試験・論文式試験で勉強内容は変わりません。

 

 財務会計論の「理論」で勉強する内容

財務会計論(理論)のボリューム ★★★★★

財務会計論の理論では、「なぜこのような計算をするのか」といった、背景を勉強することになります。

「計算」とセットで覚えていくため、勉強効率は高いです。

ただし、「論文式試験」では筆記が求められるため、専門用語を正確に記憶することが大変重要になります。

短答式試験ではかなり楽な科目ですが、論文式試験になると非常に覚えるべき分量が増えます。

たとえば、次のような文章を丸暗記することになります。

包括利益とは、特定期間における純資産の変動額のうち、報告主体の所有者である株主、子会社の少数株主、及び将来それらになり得るオプションの所有者との直接的な取引によらない部分をいう。

上記はほんの一例です。いくつ記憶したか覚えていませんが、感覚的には上記のような文章を100~200ほど記憶しました。

公認会計士は「会計」の専門家ですから、会計に関する用語は正確に覚えなければなりません。(専門家が専門用語を使えなかったら、お客さんからの信用がなくなってしまいますからね。)

 

② 管理会計論

要求される能力

  • 記憶力   ★★★★☆
  • 数学的思考 ★★★☆☆

管理会計論も、「計算」と「理論」に分けられます。

こちらも、計算と理論とで勉強方法が変わってきます。

 

 管理会計論の「計算」で勉強する内容

管理会計論(計算)のボリューム ★★★★☆

管理会計論の計算で勉強する内容は、次のようなものがあります。

  • 工業簿記・原価計算
  • 意思決定会計

1つめの「工業簿記・原価計算」は、「簿記」と付くことから、「財務会計論の計算と似た分野」になります。

ただし、工場での計算になるため、たとえば「効率的に作業ができたか?」「予算との差異はどのくらいか?」といった、分析の視点が入ります。

また、計算方法を「暗記」するよりも「理解」することの難易度が高いため、丸暗記で対応することはできません。

2つめの「意思決定会計」では、「把握した能率を改善するためには、どのようにすれば良いのか?」「経営戦略として、どちらを選択すれば有利なのか?」などの戦略的視点を勉強することになります。

 

このような勉強内容から、数学的思考が少し必要になります。(ただし、計算式はすべて中学生レベルです。)

 

 管理会計論の「理論」で勉強する内容

管理会計論(理論)のボリューム ★★☆☆☆

管理会計論の理論は、計算に比べてだいぶ分量が少ないです。

その理由は、「計算」のほうで「理解」が問われるからです。

管理会計論の計算は、理解していなければ解けません。

また、財務会計論の理論とは異なり、文章を丸暗記させられることも(ほとんど)ありません。

そのため、覚えるべき理論の知識は少ないです。

 

③ 監査論

要求される能力

  • 記憶力   ★★★★☆
  • 数学的思考 ★☆☆☆☆
  • 基礎学力  ★★★★★
  • ボリューム ★★★☆☆

監査論では、公認会計士の監査の手法を勉強することになります。

公認会計士試験に合格した後、監査法人で働き始めたときに「実際に使うスキル」を勉強しますので、内容は有益です。

ただし、その反面、、、「イメージがしづらく、覚えるのが大変」という受験生がとっても多いです。

仕事って、実際にやってみないと、手順とか覚えられませんよね。それをたくさん覚えさせられるので、非常にとっつきづらい科目です。

短答式試験はマークシート方式で、かつ難易度が低いため、受験生の間であまり差はつきません。(勉強時間もだいぶ少なく済みます。)

しかし、論文式試験では「いかに実務をイメージできているか」が問われるため、受験生の間で差がつきやすいです。

傾向として、基礎学力の高い方は監査論の成績がずば抜けている傾向にあります。

公認会計士試験の科目の中で、唯一、頭の良さが点数を左右する科目です。

もちろん、基礎学力に自信のない方でも 試験には合格できます。僕自身も監査論はズタボロでしたが、他の科目できちんとカバーし、合格できています。

特徴としては、1つ1つの用語を理解(イメージ)することが難しいです。

 

④ 企業法

要求される能力

  • 記憶力   ★★★★☆
  • 数学的思考 ★☆☆☆☆
  • ボリューム ★★★★☆

企業法の勉強内容は、分野として「会社法」「商法」「金融商品取引法」の3つの法律を勉強します。(「企業法」という法律はありません。)

割合としては、9:0.8:0.2 くらいでして、「会社法」がメインです。

 

 短答式試験対策としての勉強内容

「法律」と聞くと、苦手科目をもたれる方が多いようですが、実は全科目の中で最も点数を上げやすいのが、「企業法」です。

短答式試験対策としては、正誤問題(1問1答)をひたすら解き続け、「ひっかけどころ」を覚えていくことになります。

法律上の用語も一応あるのですが、「会社」に関する用語って、(中学・高校の)社会科の教科書でも目にするので、とっつきづらさはありません。

ただし、範囲は非常に広いです。

「正誤問題を解く」というシンプルな勉強内容を、コツコツ毎日継続しなければなりません。

 

 論文式試験対策としての勉強内容

論文式試験のための勉強としては、「定義」「判例」を暗記し、「論述の構成の作り方」を覚えることになります。

「定義」「判例」は、1~2行ほどの文章(30~50文字ほど)を100~150個くらい覚えます。

基本的に、企業法の試験では「テキストに書いてあること」しか出題されませんので、覚えた量が多ければ、それだけ得点も伸びます。

また、「論述の構成」というのは、文章構成のことです。

たとえば企業法の答案用紙は、こんな感じです。

企業法の答案用紙

これが2枚です。

こんな感じで、企業法では「罫線だけが引かれた白紙の回答用紙」を埋めることになります。

問題はシンプルなことが多く、「〇〇について述べよ」といった感じです。

述べよって言われても、、、何書けば良いの?

「論述の構成の作り方」を知らないと、そう感じるでしょう。

しかし、これは結構簡単で、たとえば「定義→趣旨→問題への当てはめ→結論」というような流れを、何パターンか覚えるだけです。

これで問題用紙がきれいに埋まります。

 

⑤ 租税法

要求される能力

  • 記憶力   ★★★★★
  • 数学的思考 ★☆☆☆☆
  • ボリューム ★★★☆☆

ここからは、「論文式試験」でのみ受験する科目になります。

租税法は、主に「法人税法」「所得税法」「消費税法」から構成されます。(「租税法」という法律はありません。)

分量の割合としては、6:2:2くらいの割合です。

「相続税法」も試験範囲にはなっていますが、滅多に出題されないため、勉強内容から除外する方がほとんどです。(予備校によっては、授業のカリキュラムからカットしている予備校もあります。)

試験で問われる内容は、それぞれの法律の「計算」と「理論」に分けられます。

 

 租税法(計算)の勉強内容

具体的な勉強内容としては、財務会計論の計算に近い部分があります。

大まかに言えば、取引の計算方法を覚え、

ただし、租税法の場合は「暗記」要素がとても強いです。

というのも、租税法は「法律」でして、覚えるべき数字が非常に多いのです。

たとえば、こんなものを暗記します。

貸倒引当金の計算式

「法定繰入率」という数値が、業種によって変わり、これを覚えさせられます。

この数値に「理由」などはなく、強いて言えば「国がそう決めたから」という数値なので、、、丸暗記するしかありません。

四則演算のみですので、数学的センスは必要ありませんが、記憶力はかなり必要になります。

 

 租税法(理論)の勉強内容

租税法の分量は、非常に少ないです。(覚えるべき分量は、租税法全体の10%ほどです。)

ただし、やや法律用語が難しく、覚えるのに苦労します。

こちらも「暗記が得意な方」には有利な科目ですね。

 

⑥ 選択科目

選択科目では、「経営学」「経済学」「統計学」「民法」の4つのうち、1つを選択することになります。

ボリュームは「経営学」が圧倒的に少なく、ほとんどの受験生が「経営学」を選択します。

 

 経営学

要求される能力

  • 記憶力   ★★★☆☆
  • 数学的思考 ★★☆☆☆
  • ボリューム ★☆☆☆☆

経営学では、大きく分けて「ファイナンス論」と「経営戦略論」の2つを勉強します。

ファイナンス論では、計算式を覚え、当てはめることで解き進めます。(やや数学っぽいです。)

経営戦略論は、純粋に理論を覚えることになります。しかし、「文章まるごと暗記」ということではなく、全て「単語レベルの暗記」です。

いずれも難易度は易しく、範囲もかなーーーり狭いので、癒しの科目です。

ここから下の選択科目は、ほぼ選択されないので読み飛ばして大丈夫です。

 

 経済学

経済性の計算を勉強します。
こちらは計算がメインです。
会計士試験の科目には珍しく、数学的センスがあるとアドバンテージとなります。(具体的には、微積分の知識を使います。)
勉強時間は経営学の2倍程度のため、選択する受験生は非常に少ないです。

 統計学

統計技術を勉強します。
こちらも計算がメインです。
経済学同様に、数学的センスがあるとアドバンテージになります。
勉強時間は経営学とほぼ同時間ですが、少しミスが起きると雪崩式に全滅という可能性がある科目のため、選択する受験生は非常に少ないです。

 民法

民法について勉強します。
こちらは全て理論です。
勉強方法は「企業法」とほぼ同様です。
勉強範囲が非常に広く、勉強時間は経営学の2倍程度です。
こちらも、選択する受験生は非常に少ないです。

 

公認会計士試験で「数学」の知識は必要なのか?

公認会計士試験の勉強内容を気にされる方の中には、「数学的センスって要るのかな?」と気にされる方もいます。

結論としては、公認会計士試験で数学的センスは不要です。

上述した通り、数学的センスが有利に働くのは「管理会計論」の一部と「経営学」の一部、そして「統計学」です。

公認会計士試験では、科目全体を通して「記憶力」が必要になります。

そのため、どちらかといえば文系の方に有利な試験といえます。

しかしながら、公認会計士試験は科目全体を通して「努力の報われる試験」でもあるので、結局一番大切なのは「継続すること」だったりします。

 

ロディ
ロディ
僕自身も理系ですので「暗記」には大変苦労しましたが、それでもコツコツ努力を重ね、3年で合格することができました。

 

勉強量は多いので、うまくモチベーションを保つ工夫が必要になりますね。

公認会計士合格までの勉強時間は7000時間でした【失敗した話】

 

公認会計士試験は「努力」さえすれば、誰でも合格できる試験です。

まとめです。

  • 公認会計士試験では、主に「記憶力」が問われる
  • ただし、一番重要なのは「継続する」という努力
  • 理系でも短期合格できる(筆者が実例)

以上です。

何度も恐縮ですが、「継続する努力」が大切です。

逆に言ってしまうと、公認会計士試験は「継続できれば誰でも合格できる試験」です。

僕も偏差値40の大学出身ですが、毎日コツコツと努力を差ね、3年で合格しました。

たった数年の勉強で、生涯高所得を得られるので、かなりコスパの良い資格だと思います。
>>関連記事:公認会計士の年収はどのくらい?【私の給料明細を見せます。】

 

もう少し公認会計士の受験について知りたい方は、予備校のパンフレットを見るのがオススメです。

合格者の「体験記」を見ることができ、「具体的な勉強スケジュール」など、リアルな受験生活をイメージできますよ。
>>クレアールなら、無料で資料請求が可能です。

今なら一部講義が無料でついてくるそうです。