こんにちは、公認会計士のロディです。

会計士の仕事のやりがいについて、興味はおありですか?
働く前は、一体どんな仕事なのかイメージが沸かないですよね。

本記事を読むことで、以下の知識が得られます。

もくじ

ちなみに、私は現役の公認会計士です。
約5年間、実際に大手監査法人で監査をしていたので、リアルな情報をご提供できます。
良いこと・悪いことを、包み隠さずお話ししようと思います。

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会計士の仕事のやりがいとは

Google等で「会計士 やりがい」と検索しても、よく分からないページがたくさん出てくると思います。

「国民経済の健全な発展」とか、「企業経営をチェックする」とか。

たぶん私が会計士じゃなかったら、あまり理解できないと思います。

本記事では、やりがい(実際やってみて面白いのかどうか)という点にフォーカスし、分かりやすく噛み砕いてお話したいと思います。

今回は、「監査編」です。

監査

会計士の代表的な仕事が「監査」です。

結論から言うと、私は監査自体はあまり面白いと感じません。

理由は2つあります。

・人の間違いを指摘する、という行為が自分に向いていない →3で解説
・近年、「ちゃんと監査した」という記録を残すための作業が増大 →4で解説

ただし、監査を通じて得られる良い経験は多くありました。

こちらも2つ紹介します。

・会社の仕組みが分かる →5で解説
・トーク力が上達する →6で解説

人の間違いを指摘し、得られるもの

「監査」は、お客さんの間違いを指摘する仕事です。
でもお客さんからしたら、急に来た外部の人に自分の間違いを指摘されたら、良い気しないですよね。

もちろん、間違いを正すこと自体は良いことです。
でも、場合によっては相手の上司にまで話が伝わり、相手は上司から叱られることになります。

お客さんと会計士との間に信頼関係があれば良いのですが、そうでない場合恨みを買われる可能性もあります。

そして、そんな恨みを買った末に私たち会計士が得るものは、「国民経済の健全な発展」なのです。

意味分からなくないですか?

ちなみに。
国民経済の健全な発展とは、かんたんに言うと、投資家さんたちに正しい数値情報を伝えてあげることで、みんな安心して投資できて、お金を循環させることができますよ、ということです。

理屈では分かるのですが、それを得ても嬉しいと感じないのです。
なので、私には(監査自体は)向いていないな、と感じました。

監査記録を残し、得られるもの

「監査」という仕事は、実は法律に守られています。

法律上、大企業は会計士による監査を受ける義務があるため、そこが会計士の稼ぎ口になっているのです。

でも逆に、法律を守って監査をしなければいけません。

そして近年、皆さんもご存知のように、大企業による会計不正が多発しています。
会計士の立場としては、「ちゃんと我々はここまで監査してたんだから、不正を見つけられなかったのは仕方ないことです」という説明をしたいところですよね。

そのためには、どのような監査をしたのか(具体的には、なぜ、誰が、何を、どのように実施し、結果どうなって、結論はどうなのかということ)を全て文書として残さなければなりません。

この作業が、とてつもなく膨大です。

余談ですが、よく会計士の同期で集まって飲んだ時に一番多く出る不満がこれです。
みんな共通して、膨大な量の文書化に苦労しているようです。

もちろん必要な作業ではあるのですが、ニュアンスで分かるような話でも、かなり理屈付けして文書として残さなければなりません。

そして、作業量が膨大である一方で、得るものは万が一の時のための保険です。

これは組織としては大変重要な事(万が一の時に組織が潰れる事もあるため)ですが、一個人としては何も得ていないのと同じです。笑

私は、この保険を得るための作業にやりがいを感じることはありませんでした。

会社の仕組みが分かる

ここまででは、マイナスの話でした。
ここから、プラスの話になります。

私は監査自体は好きではなかったですが、そこから得られた経験はマイナスを覆すものであったと感じています。

まず一つが、会社の仕組みを知ることができること。

監査は会社の間違いを指摘する仕事ですが、そのためにはまず、何が正しいのかを知っておく必要がありますよね。

それを考え、チームで話し合い、結論付け、お客さんとすり合わせ、本当に正しいかを確認できます。
また場合によっては、正しいけど実務的に難しいね、という結論になることもあります。

会社のあり方と実情を生で体験できるのは、監査だけだと思います。

更に一般のサラリーマンと決定的に違うのが、このような経験を複数の会社でできるという事です。

監査法人に入所すると基本的に複数の会社を担当しますので、色々な会社の色々なビジネスを理解できます。
色々な会社の失敗や成功を、肌に触れて感じることができるのです。

そしたら自分でビジネスを起こす、なんてこともできるようになります。

考えただけでも、ワクワクしませんか?

私が独立したのは、この経験によるところがあります。

また、独立しないにしても、将来転職した時にこのようなビジネス感覚は十分に生きますよね。

トーク力が上達する

上記の3で少し触れましたが、監査という仕事は間違いを指摘する仕事です。

それによって、恨みを買う可能性があります。

裏を返せば、どうしたら嫌われずに指摘できるかという、コミュニケーション能力が必要になります。

私は元々うまく話せるほうではなかったのですが、今ではコミュ力が高いと(周囲からは)思われています。
見せ方が格段に上達したと思います。

これが例えば会社の経理とかだと、あまり人と話す機会がなく、トーク力が鍛えられる場は少ないでしょう。

トーク力の上達は、色々な場面で役立ちます。

・合コン
・セミナー講師
・友人関係
・その他、仕事全般

等々ですね。
仕事柄、論理的思考が必要になるので、説得力なんかも鍛えられます。

トーク力の向上は、全ての仕事で役立つスキルだと思います。
これが身に付いたのも、監査という仕事をしていたからです。

まとめ

以上、まとめます。

①監査自体のやりがいは少ない
②ただし、それ以上に得る経験が大きい

という結論になりました。

私は公認会計士になって監査法人に5年間務めたことで、人として非常に成長できたと実感しています。
この経験ができて、かつ高収入であるこの資格は、非常にコスパが高いと感じています。