【会計士】僕が監査法人時代、不正会計に直面した時の話②【コラム】

こんにちは、公認会計士のロディです。

今回は、監査実務シリーズです。
私が監査法人時代、実際に経験した事をお話しします。

今回は、「不正」に直面した時のお話です。(後編)
我々会計士が普段どんな仕事をしているのか、これで少しお分かりいただけると思いますよ。
前回の続きです。

もくじ

1.不正の検出
2.監査計画の見直し
3.類似取引の検討(前回はここまで)
4.新たな内部統制の構築
5.不正に直接対応する手続き
6.結果
7.まとめ

なお、本記事はクライアントのセンシティブな内容なので、所々ぼやかし、脚色しています。

4.新たな内部統制の構築

前回までで、不正の内容をご説明しました。

ここからは、具体的に監査現場でどのような仕事(不正対応)をするのか、ご紹介します。

そもそも、不正が起きたということは、それを防止する対応策(内部統制)が無かったということになります。
そこで、防止策として新たな内部統制が必要になります。

ここはクライアント主導になりますが、適宜指導を行います。

具体的な統制としては、「異常な返品率については本社で証憑を確認し、問題なければ上長が承認する」という統制が考えられます。
ここで問題となるのは、「異常」の水準をどの程度として決定するかです。

例えば10%の返品率は明らかに異常ですが、じゃぁ5%は?3%は?1%は?と考えると、微妙ですよね。
このような場合に1つ参考となるのは、過去の推移です。

不正の起きた6店舗以外の店舗での過去の返品率を参照し、平均値を取ることで正常な返品率が求まります。
これを基礎として、たとえば正常値から1%以上乖離する返品率については、異常とみなす等が考えられます。(この1%というのは、もはや感覚でしかありません。)

この辺りをクライアントと話し合いながら決めている時、監査って面白いなと感じました。

近年、監査手続きはどうしても機械的になりがちです。
こうして自ら考え、手続きを進める機会が実は少ないのです。
※マネージャーになるとまた違いますが。

良く言えば決まったことをやれば良いということになりますが、悪く言えば考える面白さがありません。

そうした中で自ら考えて仕事ができると、一緒に成長している感覚を味わえますよね。

5.不正に直接対応する手続き

これは今回の不正に関して言えば、返品率のチェックになります。

つまり、売上高の過少計上(架空の返品なので)というリスクに対して、実際に会計士が証憑をチェックしにかかります。

また、実際に不正の発生した現場にも行きました。
この時は少しだけ緊張感がありました。

忘れもしないですが、実はある店舗で、全従業員の返品率が異常値を示していた店舗がありました。
当然、その現場にも行きました。

私は内心、怪しいと睨んでいましたが、現場視察では不正と思われる証拠はなく、金額的にもパスできるものでした。
ただ、明らかにヒトの様子が他店と異なり、よそよそしいものでした。

そして、もっと驚くことがありました。
私が現場視察をした翌日から、全従業員の返品率が激減したのです。

私は警察ではないので特に追及もしませんが、不正をする人たちの心理を少し学んだ気がします。

実は、私は今回の不正以外にも、別のクライアントで不正対応をしたことがあります。

そして不正をはたらいた人たちに共通していたのが、「非常によく喋る」点です。
テンションの高さに少し無理があり、あまり仕事と関係のないような話もよく喋る気がしました。

こうした経験は、会計士ならではだなと感じました。
少し監査とズレてきたので、話を戻します。

6.結果

最終的に、統制は綺麗にしてもらうことができました。

また、過年度における影響は、遡及することなく当期のP/Lに組み込むことで決算書へ反映しました。

Memo ちなみに、これが上場企業になると過年度の決算書(4四半期×5年分=20四半期分)の修正が必要となるケースもあります。
こうなると徹夜コースです。
今回は上場会社ではないため、そもそも決算書に過年度数値が載ってこないことや、金額的に遡及するほどの重要性はないと判断し、全て当期のP/Lで処理しました。

監査意見としては、適正意見(間違いはないよという意見)です。

前編で少し触れましたが、監査にかけた工数は通常の2倍でした。
残業代を相当稼げましたが、それ以上に素晴らしい経験が得られました。

7.まとめ

私は、こうした修羅場をどれだけ経験したかが、会計士として大成するかに影響すると思っています。
事実、このような経験ができたことにより、他の不正案件にも関与することができるようになりました。
※意外と不正は少ないので、経験者は重宝されます。

なので、もしこれを読んでいる方が会計士になったら、ぜひ進んで苦難に挑戦してください。

初めが一番しんどいです。
でも2回目から、面白くなってきますよ。

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